投資の蘊蓄をあれこれ語りたがる投資家は非常に多いですね。
それはまあ良いとしても、自分自身の考えが絶対正義、絶対正解のように徹底的にこだわる人がいます。
こういう人は非常にハイリスクな相場を張っています。
どういう投資法がハイリスクなのかを述べる方々は無数にいますが、どういう人としての姿勢がハイリスクなのかを述べるおかしな人は私、翁くらいかもしれませんね。
もちろん投資法がハイリスクなものは存在しており、ハイリスクが悪いわけではなくそれに見合うリターンが見込めるのかが大事ではあるのですが、実際はそういう投資方法論よりも投資家自身の心の問題の方がずっと大切であり、その欠如が非常に大きなリスクを伴ってしまうことになるのです。
今日はこのことを少し考えてみたいと思います。
あなたは何のために投資しているのか?
まずはこの問いかけに答えてもらいたいのです。
どこぞのカリスマファンドマネージャー?な方のように企業を応援するために長期投資するという発想であるならこれ以後の私の言は必要がありませんので読むだけ時間の無駄ですので退散なさってください。
そうではなく自己資産増殖のためであると即答出来た方々であるならもしかしたら私が述べる言がこれからの投資に有用となるかもしれません。
投資家とは資金を投じる者という意味です。
そして理想論としてあるのは資金を投じて企業に資金提供して企業が業績成長をもたらし、大きく成長して株価成長となり、配当も出せるようになり、キャピタルゲインにインカムゲインをしっかりと回収することによって自己資産増殖をさせることが仕事です。
ここに善悪はありません。
ここに正誤はありません。
投資家とはそういう仕事をするのが義務であるということです。
ですからあなたは何のために投資しているのかということをもう一度よく考えてみてほしいのです。
塩漬けの心理
投資銘柄を塩漬けにしてしまう、つまり大きな含み損となってしまって売るに売れないとこだわってしまっている投資家は多くいます。
もちろん最初は自分がそんな状況になるとは思いもよりません。
何故ならよく熟考していろいろと調べてこれこそが最高の銘柄と多くの銘柄の中から厳選して自分で選んだ銘柄だからです。
自分で慎重にタイミングをよく見計らって手がけたのだから成功しないわけがない。
そういった強い思い込みが塩漬けを呼び込みます。
そのような思考に陥ったあなたはまずあなたの考えにこだわってしまっているという過ちにぜひとも気づいてほしいのです。
自己正当化の心理
自分は間違いたくない。
自分は間違うわけがない。
自分が正しいということを利益を出すことによって証明したい。
こういった思いを常日頃抱いている投資家は特定銘柄や特定取引に徹底的にこだわりやすい人ということになります。
そのハイリスク性は言うまでもありません。
市場はその通りに動くとは限らないからです。
徹底して逆方向へと進み続けることも大いにあり得ます。
この心理に陥ってしまう投資家は前述した私の問いかけに対しての正答を保持していない、忘れてしまっているのですね。
資金を投じて膨らませ資金を回収するといった適切な仕事をし続けることよりも自分の考えがいかに正しいのか、自分の正しさを証明したいといった自己正当化に大きく比重を置いた心理状態で相場を張っているということになります。
これが自己正当化の心理がもたらす弊害です。
市場の考えに従え
相場の基本三原則第三番目が登場しましたね。
直近凄い勢いでNYDOWが値幅調整をしています。
新型コロナウイルスという言葉に敏感に反応して不安を増殖してしまうのは日本人だけでなく何人であろうとも人間であるなら当然のごとく起こってしまう心理ということになります。
投資家も人間ですからそういったことでパニック売りをしてしまう人も少なからずおられるということを直近の値動きがまたもや証明したということですね。
こういう局面においてそろそろリバウンドするのではないだろうか?
と考えて買ってみる投資家がいます。
また逆に新型コロナウイルスが深刻なパンデミックとなるのではないだろうか?
と考えて売ってみる投資家がいます。
結果は時間が知らせてくれて数日後、数週間後、数ヶ月後に誰しもに明らかな状態で出てきて、現値よりも高くなる、つまりリバウンドしているかもしれませんし、現値より安くなる、つまりさらなる大暴落となっているかもしれません。
ここで考えるべきはどちらの投資家もその考えは自分の考えであるということです。
当然のことですね。
その自分の考えにこだわることで片方は成功し片方は失敗することになります。
しかし私はどちらの考えも間違っていると述べます。
私は常に市場の考えに従うということだけが正しいと述べています。
どういうことなのか?
と疑問に思われた方もおられるでしょうね。
今回の例でいくと、まずどちらも自分の考えにこだわることで自己正当化を目論んでいます。
そして失敗した場合、つまり結果逆行して含み損拡大に進んでしまった場合は結果も大損状態ですのでこんなことを繰り返していてはいくら資金があっても足りないということになりますのでこの考えは間違いであると認識することは容易でしょう。
問題は成功した場合ですね。
このときは確かに含み益拡大し利益確定も出来たことでしょう。しかし自分の考えにこだわっていたという心理そのものが間違いである故に、誤った成功体験となってしまうのです。
その誤った成功体験がもたらす弊害は次の取引です。
誤った成功体験によって自己正当化をより強く増幅させてしまうのです。
それは次の取引への自信過剰なさらなる自分の考えへのこだわりをもたらします。
ときにこれが連続して起こる投資家もいらっしゃいますのでそういう人はもう確固たる自分の考えへの固執が心理的に起きてしまうのです。
そしていよいよ逆行してしまう取引になってしまう段で徹底的にこだわり、相場から退散させられる事態にさえなってしまうのですね。
相場は明日も開いている
最後までお読みいただきありがとうございました。
自己正当化の弊害はご理解いただけたでしょうか?
私が相場の基本三原則第三番目として市場の考えに従えという言葉を置いている意味がご理解いただけたでしょうか?
そこで考えていることは一過性の不適切な成功ではなく、継続した適切な総合的成功を収めるための相場を張る上でのあなたの心理形成です。
そのためには自己正当化をしたくなる相場の張り方では駄目なのです。
どんなに優位性のある手法を使ったとしても自己正当化という投資家心理がそれを継続して適切に行うことを怠らせるのですね。
人間心理というものはそう容易くは変化しないものですから日々正しい言葉を反復するしかなくそのためにこのブログが一助となればと考えており、私自身も自分で自分を戒めるために日々綴っているという意味もあるのですが、そういった努力をしよう、これからはしてきたいと思う極々少数ながら賢い投資家の方々へ一言述べるとすれば以下の言葉となります。
相場は明日も開いている
今日、まさに手がけているポジションで確実に利益を出す必要性はないのです。
明日も相場は開いていますので今日小さな損失で撤退してもまた明日挑戦して成功するべく頑張れば良いのですね。
前述した例で示すなら、リバウンド狙いで買ってもよいし、さらなる暴落狙いで売ってもよいが、いずれにせよ今回の局面だけで相場人生が終わるわけではなく明日も相場を張ることができる、張らねばならないのですからその成否にかかわらず自己正当化のために自分の考えにこだわらずに、市場の考えに従って適切に見切っていかねばならないということなのです。
全取引において適切に継続できるなら今回の結果がどうであれ総合的成功は継続されるのが相場なのですね。