上がるなら買うしかない
この言葉は奥が深い言葉です。
人によってはそんな簡単ではないと批判してくるわけですね。
それでも私は淡々とこの言葉を繰り返しているわけですが、どうしても誤解を与えてしまう言葉のようであり、相場のプロを自称している人間がこれを言うと馬鹿にする人たちがほとんどとなります。
従ってこの言葉を今日は深く掘り下げてみたいと思います。
仮定というもの
上がるなら買うしかないと言ったとき、それはまず『上がるなら』といった仮定が入っていきます。つまり下がるなら買ってはいけないということになるわけですが、上がるならと仮定するその前提条件は何なのでしょうか?
どういう風に上がれば良いのか?
上がるなら何でも良いのか?
何かを仮定するとき常にそれを仮定する条件というものがあるはずです。
普段それを端折ってただ上がるものを買いなさいと私は述べていますので誤解を与えやすいですが、それは常に仮定する上での前提条件というものを簡略化してしまっているところに起因があります。
ですからそれを述べるわけですが、この上がるならといった仮定に対する前提条件は相場の基本三原則に従っているならといったことになります。
相場の基本三原則
私が提唱している相場の基本三原則はまさに基本中の基本でありどんなやり方で売買をしている投資家であっても生涯実践継続した方が良い原則です。
またかと思われたかもしれませんが、結局ここに行きつくのです。
大損を避けるポジションでトレンドに従い、市場の考えに従っている『上がる』なら買いなさいということになります。
この具体的な実践的意味もまた容易です。
逆指値を設定して下方修正しない、つまりは上がるなら買いだとして買ったとしてその後上がらないで下がるなら最初に設定した逆指値に引っかかって損切りとなるはずですし、上がるなら買いだとして買ったポジションがトレンドに従っているなら上がり続けていて含み益が拡大し続けているはずですし、上がるなら買いだとして買ったポジションが市場の考えに従っているならその市場の考えに変化がない限り上がり続けているはずなのです。
何処まで行っても相場はこれだけであり、相場の基本三原則に生涯、そして全取引で実践継続できるかどうかだけの話なのです。
従って上がるなら買うしかないのです。
歴史上最高値更新間近において
相場は空前の大相場となっています。
まあ日経平均株価の数字としてはということになり、個別ではそうではない銘柄も少なからずなわけですが、いずれにせよ全体相場としての一指標となる、そして代表的な数字としての日経平均株価というものが不動産バブル相場が起こりそれが大崩壊したあの多くの投資家たちが悲惨な転落人生を迎えたあの瞬間を超えようとしているということはその時代を現場で実践しながら生き残ってきた私としては感無量といったところですね。
問題は決して日本国内経済はその当時より良くないということですが、相場という意味ではグローバル大企業が中心となる日経平均株価はその企業業績が好業績かつ決して割高ではない現状ですのでバブル相場ではないと冷静に考えておかねばならないということになりますね。
上がるなら買うしかないをまさに体現しているのが現在の相場であり、持たざるリスクが大いに発揮されている現状ということです。
買うしかないという意味
次に『買うしかない』という言葉も馬鹿みたいに真剣に考えてみましょう。
『買う』は買い注文するという意味で誰が見ても明らかですが『しかない』と言ったときにそれはどのような状況なのかしっかりと認識しておかねばならないはずです。
そしてこの意味はあなたが買いたくないと思っていても買わなければならないという意味です。
ここがとても重要なポイントです。
あなたはやりたくないと思っていてもやらなければならない実践であるということです。
これは全ての投資家にとって本当にやりづらいことです。
当たり前ですが人間だれしも自分の好きなようにやりたいものなのです。
相場といった自分で作った資金を使って売買をする場ではなおさら自分の好きなようにやりたいと思うのが当然の人間心理だからです。
上がるなら買うしかない。
この言葉は一見容易で安易な言葉に見えるわけですが実際のところはとても奥深い言葉なのです。
この『しかない』が出来ないのが常識ある普通の人間だからです。
単純な複雑性
最後までお読みいただきありがとうございました。
今日は何とも平易な言葉を誠に馬鹿らしく真剣に考えてみました。
歴史的な大相場においても明日上がる銘柄はこれだ!というものを一切やることがない相変わらずの翁節ですが、そういったくだらない情報に相場の本質は全くありませんので本質しか語りたくない私としては仕方がありません。
上がるなら買うしかないし、下がるなら空売るしかないのです。
相場の真理はこのただ一点のみなのです。
問題は多くの投資家たちはこのただ一点しかない真理を見落として見逃して知らぬふりをした実践行動をしてしまうということになります。
この単純な複雑性というものを馬鹿にせずきちんと整理していくことが大事であり、これはどんな分野の世界でもそうなのですが、もう自明の理であるはずのことを忘れてしまったかのような状況に陥ってしまうことは良くあることなのです。
相場においていかに市場の考えに忠実に自分の考えを排して素直さを維持した実践行動を継続できるか?
すべての投資家に問われていることは今日も相変わらずこのことだけなのですね。