人間は考える葦である。
とパスカルさんという方が言いました。
この世に思考せぬ人間は一人もいません。
そして思考は自分で考えていると思考している人がほとんどですが実際はそうではないのではないかと私は思考しています。
今日はこのことを考えてみたいと思います。
思考は目まぐるしく変化している
思考を止めることは非常に困難です。
出来る人はいるようですが瞑想や宗教体験などの神秘的な静寂な環境の中でのみ実現可能なもののようです。
つまり我々のほとんどは常に思考をし続けているということになります。
今日は何食べようから始まってこの辺が痛いな、だるいな、そこに家族という人間関係が入ってくれば今日は我妻は機嫌が悪そうだ、息子はいらいらしている、娘はニコニコしているな、会話をすればその都度、自分の最初の思考は間違っているかなと思考を変えたりしてまたさらに仕草を見てやはり間違っていないかなと思考したりとめまぐるしく変化していきます。
人間は考える葦であるとは良く言ったもので思考を止めることは一切ないのです。
果たして自分が思考しているのか?
私はここに疑問を持っています。
私の思考は私が思考しているように自分では認識するわけですが、目まぐるしく変化しながら連続的に思考し続けていることを逐一私が取捨選択してしっかりと熟考して思考しているかといえばそうではないように思うのですね。
次から次へと私が思考を選択しているというよりも自動的に思考が流れ続けて私の心に入ってくるという感覚を持つのです。
自分以外の他と会話している間にもあれこれ思考が入ってくるわけですが、会話を正確にこなしながら同時に思考も自分で取捨選択するということは困難なことのように思うのですね。
相場における機械的売買
さてようやく本題の相場の話です。
無心に適切に機械的に売買すればよい。
言葉で述べれば簡単なのですが実際は思考というものが目まぐるしく投資家の心に入ってきて感情を揺さぶります。
株価の値動きに翻弄されると認識するわけですが実際には株価の値動きに翻弄されているのではなくそれを見た投資家の思考が自身の心を翻弄していると考えると納得できるのではないかと考えています。
急騰しているからそろそろ急反落してしまうのではないだろうか?
急騰しているがまだまだ行きそうだから仕掛けなければ。
値動きを見るたびに様々な思考が投資家の心に自動的に入り込み続けてそれは値動きの変化のたびに目まぐるしく変わりながら次々と入ってくるわけですね。
機械的売買とはそういう思考を排除して淡々と決められたとおりに売買し続けるということなのですが、これをまさに機械を使って、コンピューターで自動売買させるという手段を講じる人もおられますが、自分で発注する場合にこの連続した止められない思考を排除することが非常に困難となります。というより不可能なのですね。
人間がロボットになることは出来ませんから思考は止められません。しかし機械的売買をしていかなければ成功を継続させることは出来ません。
思考は自分の取捨選択によるものではない
ここで前述した思考に関しての私の考えが有用となってきます。
思考は自分の取捨選択によるものではなく自動的に自分が見たもの聞いたもの感じたもの、その対象となる物、人、何でもよいのですがその事象によって好き勝手に思考が入ってくると認識することが大事となってきます。
株価の値動きを見てそれに対してあなたが正しく熟慮した上で思考したものではなく、好き勝手にめまぐるしく変化しながら入っていく無選別なものであると認識することが大事なのです。
つまり自分の思考は自分の思考ではないという理解が出来るかどうかということになります。
思考の制御
思考を排除することは出来ません。
人間は勝手に考えてしまう思考を止められない動物なのです。
従ってそこで出来ることは思考の制御。
具体的には目まぐるしく変化しながら自分の心に入ってくる思考はそのままに目の前の事実に反応していくということです。
値動きを見た自分の思考が入ってきてそこに反応するのではなく、値動きそのものに反応して行動するのですね。
その間思考は次々と流れて行きます。
それは一切排除しよう、止めようと思ってはいけません。
それをしようとしても修行不足の我々では不可能ですのでそれはそのまま流れるままにするしかないのですね。
大事なことはその思考を入れ続けながらそこに反応するのではなく値動きの事実に対して反応して行動するということです。
これが思考を制御している状態ということであり、機械的売買をしているということの本質です。
あなたの思考はあなたの思考ではない
最後までお読みいただきありがとうございました。
いわゆる機械的売買ができる投資家というのは結局思考の制御が出来ているかどうかということに尽きます。
それが出来ていない人が出来るようになるために私から助言できることはまずはあなたの思考はあなたの思考ではないということをもう一度よく考えてみて理解してほしいのです。
値動きを見てあなたの心の中に入ってくる思考、それが適切に選択された熟考された正しい思考であると思ってしまうあなたが少なからずいるからこそあなたはあなたの思考に翻弄されてしまうのです。
それを防ぐためにはあなたの思考はあなたの思考ではなくただ事象に対して目まぐるしく変化しながら無作為に無差別に自動的に入り続ける何とも当てにならない思考であると認識する必要があるのですね。
そこを認識できたとき、その思考を受け入れて受け流したままに値動きに素直に反応できるあなたの形成が出来てくるのです。