この世の理は常に慎重であるべきか迅速であるべきかが問われ続けています。
パニックにならないように慎重に言葉を選んで行動しなければならない。
手遅れにならないように迅速に言葉を選ばず行動しなければならない。
どちらもとある事象によっては正しくとある事象によっては正しくないということになるのです。
相場でもこのことが言えます。
今日はこのことについて考えてみたいと思います。
慎重に行動するということ
慎重に行動するメリットは当然ながらいろいろと吟味する時間を取ることによって感情的とならずに冷静かつ客観的に判断できる確率を高めるということになります。
相場を張る上で感情的売買は禁物ですから適切な売買タイミングであるのかどうか慎重に行動することは大事なことです。
多くのパニック売買は天井や底を示していることが多いのは慎重に行動する投資家が少ないということの現れです。
人間の数としては少ないのですが、その少ない人数の平均資金投下量は多いということになります。
何故ならパニック売りで大量に売られていてもそれをすべて買い占める人がいるから売買成立し底打つからです。
もちろん極短期的リバウンド狙いの人もいますからそういう人が売り切るまで底這いが続くといったことも多くありますね。
いずれにせよ、慎重に行動するためには値動きに逐一翻弄されない精神を保つ必要があります。
迅速に行動するということ
一方迅速に行動するメリットは当然ながら値動きに素直に反応してポジション銘柄の含み益を何十%も喪失してしまう、含み損を拡大させてしまうといった愚かなことをしでかす確率を低めるということになります。
相場は何が起こるか分かりませんから、順調な上昇トレンドを築いていても一瞬でそれをすべて失う大暴落が起こってしまうことがあります。
そういうときにこれは良い押し目買い機会だと買い増していけばトレンド転換への第一歩である可能性を見逃し、さらなる損失拡大をする行動をしてしまうことになります。
暴落の兆しが見えたらとりあえずすべて手仕舞うといった迅速な行動をすることは相場師にとってとても大事な行動ですが、出来る人はやはり少数派です。
何故なら多くは自分の銘柄にこだわっており、その銘柄で成功したいという自己正当化に走りますので迅速に処理できないのです。
特定銘柄の薔薇色の可能性を妄信して自分のシナリオに都合の良いファンダメンタル分析やテクニカル分析を行うことで自分の考えに補強を行います。
暴落する暴騰するといった大きな値動きは常にトレンド転換のきっかけであることが多いわけなのですがそういう市場の考えには従わず自分の考えに従う投資家があまりに多いのですね。
いずれにせよ、迅速に行動するためには値動きに瞬時に反応できる精神を保つ必要があります。
慎重かつ迅速であること
この相矛盾する行動実践を上手く行い続ける必要が相場師にはあります。
そのことを言葉としては慎重かつ迅速であることと簡単に述べてしまうわけですが、実際の実践は困難を極めます。
慎重に行動するなら緩慢になりやすいですし、迅速に行動するなら慎重に欠けることになりやすいわけですね。
ここを上手く分けて考えていくためにはしっかりと整理しておく必要があるのです。
つまり相場を張る上で何に慎重となり何に迅速になるかということを明らかにしておくということになります。
慎重であるべきこと
まずは慎重であるべきことから行きましょう。
それは相場を張る前の準備です。
多くの投資家たちはいつ売買するかということには関心があり、値動きを見て安易に飛びつくようなことをしている人たちも多いのです。
もちろんそれでも儲かることは相場環境や選んだ銘柄によってあり得るので誤解が生じてしまうのですが、こういう人たちは大抵継続した成功は出来ません。
私を含めプロ意識を持って取り組んでいる投資家は入念な準備を怠りません。
いつ仕掛けいつ手仕舞うのか、どのくらいの資金を投じるのか、何事も起こり得るとしてあらゆる事態を想定してどういうときにどうするのかということを全て決めたうえで相場を張っています。
つまり売買注文を出す段階では特に考えることは何もなく機械的にやっているということですね。
本当にしっかりとした準備が完了しているかどうか慎重に見極めることは非常に大切なのです。
場が始まり値動きが煌びやかに目まぐるしく変わってくると興奮して売買したくなってくる人たちは多いですが、慎重にあらゆる事態に備えた準備が出来ているかどうか再確認しなければなりません。
迅速であるべきこと
次に迅速であるべきことですね。
それは実践です。
仕掛けタイミング手仕舞いタイミングが来たときは迅速に実践継続しなければなりません。
それも全取引で、生涯行い続けなければなりません。
たいして手掛けていないからいくら株価が下がっても大丈夫、下げたら難平すればよいのだからと緩慢な売買をしてはなりません。
金額としては小さくても大きなパーセンテージでの含み損となるリスクを甘んじて受け入れて自己資金の時間拘束をもたらす人はプロの相場師を名乗ってはいけないのですね。
上場廃止にならなければ買い続ければ利益になるなどといった素人発想はプロの私から言わせれば怠慢の何物でもなくまさにアマチュア投資家がやることなのです。
それは自分の売買タイミングの失敗を認めないということであり、自己正当化しているわけでプロとしては失格なのです。
もちろんそういう人たちでも利益が出ていく局面はありますが、生涯成功し続ける本物の投資家には永遠になれません。
売買実践は常に迅速に何物にもこだわることなく、あらゆる事態を想定した入念な準備で決めた通りに淡々と実践継続する必要があります。
慎重と迅速
最後までお読みいただきありがとうございました。
慎重と迅速は相矛盾する行動ですが、どちらも相場で成功し続けるためには必須の行動です。
相場においては準備を慎重に実践を迅速にということになります。
非常にシンプルですね。
慎重に準備をしておけば実際の実践時にどういう状況になったらどういう行動をすべきかということがすべて決めてあるということによって適切な実践を迅速にできる確率が高まるわけです。
大抵の投資家たちは自分のポジションがズルズルと含み損拡大していく様を指をくわえてみていることになるわけですが、それはこういう状況になった場合にどうするかをしっかりと準備していなかったということになるのですね。
普通に逆指値を発注しておくことは誰でも容易にできるような時代になっているわけですから、あらかじめ慎重に準備していれば当然逆指値を発注していて、こんな事態に陥ることはあり得ないわけです。逆指値を発注していなくても自分のポジションがいつも必ず成功することなどあり得ないわけですから失敗になる場合においてのどのタイミングで損失確定するかといったことをあらかじめ実践前に慎重に準備しておけばそのタイミングにおいては淡々とそれを実践するだけであるという意味で迅速に出来る確率が高まるわけです。
相場は非常に単純です。
結局あなたが相場を張る上であらゆる事態に備えた準備を怠らずに慎重に行った上で実際の売買を迅速に実践継続しているかといったことだけが相場においては唯一無二の大事なことなのです。
あの銘柄が買いだ売りだこの業界が良いだ悪いだ、相場がどうなるこうなる経済がどうなるこうなるなどといった話は些末な話なのです。
結局投資家自身の姿勢が問われ続けているだけであり、慎重と迅速をしっかりと使い分けられる精神確立をしているかどうかといったことがあなたが解決しなければならない唯一の命題なのですね。
多くの投資家たちはそんなことはない決算書が読めなければ業界分析が出来なければ経済予測が出来なければ駄目だと批判するでしょうが、結局そういうことを言っている時点で生涯成功し続ける投資家には決してなれないのです。
こういった巷の投資の常識なる誤った洗脳から一人でも多く脱却してくれたら私も嬉しいですねえ。