買い優勢、売り優勢とよくこの言葉が使われて相場状況の説明がされていますね。
しかし大事なことはその優勢とやらがいつまで続くのかということです。
今は確かに買い優勢だから買われているのでしょう。
ただそんなことは誰でも目の前の相場を見れば理解できることです。
大事なことは次の1秒、次の1分、次の1時間、明日、明後日、来週、来月どうなっているのかということになります。
従ってこの優勢というものをよくよく考えてみなければなりません。
言葉の説明
言葉の説明は逐一言うまでもない話です。
インターネットで検索すれば言葉の意味は容易に分かる時代ですからそうすればよいだけの話なのですが、ここでの説明は漢字としての説明ではなく相場においての説明となります。
相場においての優勢とは買い優勢なら現状買い勢力が売り勢力を上回っているため株価が上がっているということを意味し、売り優勢なら現状売り勢力が買い勢力を上回っているため株価が下がっているということを意味します。
漢字としての説明と変わらないと感じられたかと思います。
その通り言葉の説明としては何も変わりません。
但し書き
しかし丁寧に見てみるとちと違います。
保険の小さい文字で書かれた但し書きをきっちりと読む必要があるように、現状という言葉を注意深く拾ってほしいのです。
つまりこの現瞬間だけの話ということです。
次の瞬間には買い優勢であったものが売り優勢になってしまうことは多々あります。
その理由はたった一人の大人な方が姿勢を買い姿勢から売り姿勢に転換するだけで勢力図は変わってしまうからです。
その瞬間優勢は買い優勢から売り優勢に変化してしまうのです。
とある大富豪の一日
とある大富豪な方と資産運用アドバイザーとの面白い問答がありますのでご紹介しましょう。
大富豪「さてこの銘柄を君は買えとのことだがどういう理由からかね?」
アドバイザー「DCF法をベースに企業価値分析を計算しましたら非常に割安と出ております。さらに株価もいくつかのテクニカル分析によって買いシグナルが出ており絶好の買いタイミングかと思います。」
大富豪「つまり君はこれからこの銘柄は株価が上がる確率が相当に高いから買うのをお勧めするということだね?」
アドバイザー「はい、もちろん絶対ではないですがファンダメンタル的にもテクニカル的にも絶好の機会かと思われます。」
大富豪「よしわかった。それでは実行に移すとしよう」
そう言って大富豪はアドバイザーの買い推奨とは反対に圧倒的資金力で空売りを仕掛けた。
すると買い勢力が優勢だったその銘柄はあっという間に売り勢力が優勢となり大暴落してしまった。
大富豪は言う。
大富豪「君は相当に株価が上がる確率が高いと述べたがどうだ。この通り私が空売るだけであっという間に株価は暴落してしまったではないか」
アドバイザー「・・・・・・・」
この会話が意味するもの
この会話は非常に重要な相場の真理を突いています。
優勢などというものはたった一人の大富豪の手によってねじ曲げることが可能ということです。
それも非常に感情的な適当な根拠なき行動によってでもです。
巷では盛んに相場評論家な方々がこの銘柄はどうだあの銘柄はこうなるはずだ、こういう分析手法が、ああいう売買法がと喧々諤々自己主張をしています。
しかしそんなものは問答無用で打ち消し去ることがたった一人の人間によって可能なのです。
大資金を保有している人間限定ではありますが。
優勢とは現瞬間の現状認識に過ぎないということを理解しなければなりません。
優勢とは
つまり買い優勢であると言われたら確かに今はねと冷めた目で言い返せなければならないのです。
優勢とは常にその瞬間における判断のみなのです。
次の瞬間にはいつでも逆転するそこはかとなく儚きものなのですね。
そのことを認識しているかどうかの判断基準は当然ながらその具体的対処をしているかということです。
きちんと逆指値を設定して発注しているのか?
ハイリスクな過剰な資金投下をしていないか?
どういう状況で手仕舞うのか仕掛ける前に決めているのか?
優勢とは儚きものであると認識している投資家なら全取引で必ずやっておかなければならない準備、対処です。
実行あるのみ
最後までお読みいただきありがとうございました。
買いが優勢である、売りが優勢である、したり顔で述べる評論家になっている暇はありません。
そんなものは一瞬で反対になり得るのです。
従ってああだこうだ述べている暇には即実行。
儚き事象への適切な対処に集中することが大切なのですね。