私も上場企業の経営者の言葉を多く見てきました。
パワーポイントで描かれた決算説明資料なるプレゼンテーション資料には薔薇色の業績目標や指数関数的成長曲線が載っていることがほとんどです。
このような経営者が語る言葉について今日は考えてみたいと思います。
自社を良く見せたがる心理
これは当たり前の話なのですが上場企業の経営者にとって自社が多くの投資家たちに対してどう見えるかということはとても大事なことです。
ですから自社を実際よりどれほど大きく魅せるかということを常に考えています。
その結果として良いことを強調し悪いことを隠そうとする傾向があります。
総じて経営者の心理として自社をよく見せたがるという共通項があるということを理解しなければなりません。
割り引いて見る
決して嘘をついているわけではないのです。
ただかなりの過大評価をしていることは多いです。
現段階において妄想的と言わざるを得ない大目標を掲げている経営者も非常に多いです。
中期計画と称した三カ年計画、五カ年計画にしても具体性がなくその道筋は自社に都合のよい楽観的なシナリオに基づいている、すべてが上手く行き過ぎた場合に達成するだろう計画ばかりです。
従って我々投資家としては常に割り引いて見る必要があります。
投資家の視点
投資家はあくまで冷静かつ客観的に評価しなければなりません。
経営者が語る言葉に対してそのどこまでが現実的なのかを分析する必要があります。
将来の目標数字はあくまで経営者がそうなったらいいなというような夢と置き換えておく必要がありますし、中期経営計画などというものは基本的にその通りに実現することは滅多にないものであるとしてよくその中身を吟味し論理的具体性はあるか、様々な指標を使った数学的な根拠はあるのか見ていかねばなりません。
そして正しい評価をして経営者の言葉を鵜呑みにしない適切な投資判断をすることになります。
相場師の視点
私は相場師ですので投資家の方々とはまた違った見方をします。
経営者の語る言葉は完全に無視します。
薔薇色のプレゼンテーション資料などは買い煽りの類いと見なしています。
つまり売買判断材料にはまったくしないということです。
ファンダメンタルというものは一応見ますが、それはただその企業がどういった状態にあるのかの確認にすぎず、要するに倒産リスクだとか割安割高ということを認識しそれを前提とした上で適切なタイミングであればどうであれ売買するということになります。
それが正しい間違っているということを述べているわけではありません。
私が売買判断する上では何の役にも立たないというだけの話です。
経営者と投資家は思考が異なる
最後までお読みいただきありがとうございました。
経営者は自社にこだわっています。
実際自社の状況が経営者自身の死活問題にさえなることですから当然の話です。
一方で投資家は特定企業にこだわるべきではありません。
多くの企業の中から最適な投資先を探し出してタイミングよく行動することが大切です。
つまり経営者と投資家は思考が異なるということになります。
これを理解して経営者が何かを語ったらまた一生懸命自社を宣伝しているなあと微笑ましくスルーして上げるのが大人の投資家の対応ということになるでしょう。