損切りは投資家にとって嫌な決断です。
まず何より自己資産が減少してしまうという結果が出てしまうことを認める行為です。
次に自分がこれだと思った、今こそ仕掛けるべきだと考えた、思い入れのある銘柄、取引で損切りとなってしまう事実を認める行為です。
どちらも痛烈な嫌悪感を抱いてしまい損切りの決断が遅れたり、躊躇してしまう最悪の事態を招いてしまう投資家も後を絶ちません。
ではどうしたら良いのでしょうか?
このことを今日は考えてみたいと思います。
損切りという言葉
まず損切りという言葉があまり良い響きではありませんね。
英語ではご承知の通りloss cutと表現し、ロスカットとカタカナ語にして使っているトレーダーの方々も多いでしょう。
内容は同じことですがロスカットと言うだけで何やら格好良い感じとなるのはいわゆる多くの経済カタカナ用語と同様です。
しかしそんな言葉の響きの問題ではないですね。
損を切るという行動を適切に実践継続すること、これが多くの投資家たちがなかなか継続できないことなのです。
損切り制御
損切りを避けて成功し続ける投資家は皆無です。
割安な水準で買ったら永遠にその株を保有し続けるイメージが植え付けられている世界一の有名投資家、ウォーレンバフェット氏も頻繁に損切りしています。
日本の稀代の投資家、ソフトバンクグループの孫正義氏も先日仮想通貨売買で金額としては多額だが彼の自己資産に比して過少な損切りをしたという報道があったのは記憶に新しいところかと思います。
どれほど優れた投資家でも、いや非常に優れた投資家ほど損切りをきちんとしているのです。
ですからいかにして損切りをするのかという損切り制御を考えることがとても大事なことになるのです。
損失許容額というもの
私はこの損失許容額を決めることから始めることをお勧めしています。
損切りに躊躇してしまう大きな原因の多くは確固とした決められた数字がないことにあります。
この株価水準に来たら損切りしようと思っていてもいざそうなるとやっぱりもう少し待ってみようと考えてみたり、やっぱり損切りしたくないと考えてみたりしてしまいます。
そこで損失許容額をしっかりと数字として決めることによってその金額となったら問答無用で損切りするという基準が生まれます。
決断の前提条件が明快かつ簡易になります。
これがとても大事なことです。
10万円の含み損に達したら見切るという損失許容額を設定するだけで損切りが出来やすくなります。
損失許容額設定に関して注意すべきこと
ただしその金額の設定には注意すべきことがあります。
総資金に比して十分に小さい額であることが必須です。
総資金が100万円の人が10万円の含み損に達したら見切るという損失許容額を設定するのはかなりリスクが高いと言えます。
総資金の10%がわずか一取引の失敗で失われてしまうという売買は継続性が失われてしまう確率がかなり高いからです。
やはり総資金の1%という数字を一つの基準にすると良いでしょう。
総資金100万円なら1万円
総資金1億円なら100万円
総資金100億円なら1億円ですね。
もっともっと小さいパーセンテージで売買を行っているプロ相場師の方々はたくさんいますが、最初は多少緩めに設定しておかないとそもそも売買が続かないという意味で1%という数字を目安にすると良いでしょう。
他の設定法ももちろんあります
損失許容額を私はお勧めしましたがもちろん他にもたくさんあります。
仕掛け後株価が逆方向に何%動いたら損切りすると設定する投資家が一番多いでしょうか。
ただ銘柄によって時期によって株価変動が大きく異なりますのでそういったことも考慮して損切り制御をしようと考えると損失許容額の設定が一番わかりやすいものではないかと私は考えています。
ボラティリティも考慮したポジション量や現値から損切りする株価までの設定幅を柔軟に調整できるからです。
損切りがすべて
最後までお読みいただきありがとうございました。
適切な損切りをすべきときにできない投資家が成功し続けることは決してありません。
一過性の成功者なら過去多くカリスマ投資家なる方々を輩出してきた歴史があります。
しかしその多くが最後まで続くことなく散っていった悲しい歴史でもあります。
それは総じて損切りが出来なかっただけの話なのですが、しかしその投資家はその瞬間までは成功していたのです。
成功していた故に自分は損切りなどしなくてはならないような事態には決してならないと増長していたのです。
この辺の投資家心理こそが相場の真理がある部分でありそれはまたいつかお話することもあるでしょうが今回は損切りが全てであると頭に入れることが出来たならまずは大成功ということになるでしょう。