人間というのはどうしても順境、上手く行っているときが一番気を付けなければならない瞬間です。
相場においても結局大儲けしているときが一番危ない時で注意しなければならない瞬間です。
相場は今日の目の前の取引で終了ではなく、何度も繰り返し取引をこなし続けることになります。
その間、上手く行ったり上手く行かなかったり、大利を出したり大損を出したりと繰り返しながら退場する者は退場し、成功する者は成功していきます。
そうやって長年生き残り続けて相場を張り続けていくと本当に必要なものが見えてきて実はそれは誰もが知っているはずの基本的なものばかりとなるというのがどの分野の世界においても真理のようです。
今日は相場においてそれを考えてみましょう。
相場では何事も起こり得る
あなたがこの銘柄の株価がこれから上がると考えてポジションを取る
これは私もやっている投資家の基本思考です。
このこと自体は仕方がないことであり、こうではないかと考えることは当然やるべきことで、考えて決断して行動しなければそもそも相場を張ることは出来ません。
しかしながらここで大事なことは相場では何事も起こり得るという思考です。
つまりこの銘柄の株価がこれから上がると考えてポジションを取ったことは良いが、同時にこれからこの銘柄の株価が下がる可能性が少なからずあるということも認識しているということです。
ここまでしっかりと自分が考えているとき初めて相場では何事も起こり得るということを理解しているということになります。
具体的に何をするのか?
では具体的に何をしたらよいのでしょうか?
相場では何事も起こり得る、つまり株価が上がると考えて買いポジションを取ったが逆行した場合どう手仕舞うのか決めなければなりません。
そしてそれはもちろん損切りすべきであるということになります。
損切りがすべてなのですね。
相場の基本三原則第一番目にある大損を避けよの具体的実践が必須になるわけです。
しかし多くの投資家たちはこの当たり前のことであるはずの具体的実践を全取引で継続するということが出来ないのです。
何故損切りできないのか?
では何故損切り出来ない取引が生じてしまうのでしょうか?
これを正確に詳細に網羅していきましょう。
まず第一に流動性が無い過小資本銘柄に過大なポジションを取ってしまっている場合です。
これは相場技術的な問題ですが、板が薄くてその板に並ぶ買い物売り物に対して過剰にも大きなポジションを取っている場合、自分の見切りが大きな値動きを生じさせてしまい手仕舞えない、より大きな損失をもたらしてしまうことになるからです。
単純に自分の資金量がどうであれ関係なくあまりに過小な資本銘柄を売買することは避けるべきであり、手掛けるにしても板の状況が単位株程度の数しか並ばないならその程度のポジションしかとってはならないということになります。
第二にファンダメンタル面における強い思い込みです。
この銘柄は大化けする、いずれ株価が10000円になる、そんなことを思い込んでしまうと目の前の現実を受け入れて手仕舞うことが出来なくなります。ファンダメンタル投資を決して否定はしませんが、残念ながらテクニカル売買より役に立たないことが分かっています。
割安性割高性は測れるのですが、それがその後の株価の上げ下げに影響しないからです。
売られすぎているから割安に見えますし、買われすぎているから割高に見えるわけですが、相場では常に割安なものがさらに割安に、割高なものがさらに割高になっていくのは御承知の通りかと思います。
要するにいずれは修正されるはずであるという思い込みが損切りを躊躇させ含み損がどんどん拡大していくリスクを請け負ってしまうことになるのです。
第三に誤った成功体験があります。
とある取引において含み損拡大してしまったが塩漬けしてじっと待ち続けたら含み益に転換して利益を出すことが出来た。
こんな結果として成功となった体験を一度するとまたこれを繰り返すことが出来るはずだと考えてしまうのです。
これを誤った成功体験と言います。
これはなかなか克服が難しい投資家心理です。
結果としては成功しているからです。
相場は確かに結果の世界です。
利益を出したならそれは成功です。
しかしその結果までの過程もきちんと見なければ誤ってしまうのです。
このとある取引では確かに損切りしなくても結果成功しました。
ただその過程において大きな含み損を抱えていたという点を見逃してはならないのです。
それはつまりまた同じことをすれば同じように大きな含み損を抱えることになり、今度は永遠に含み益に転換することがない取引となってしまうリスクがあるのです。
第四に損切りの連続における心的疲弊です。
損切りするということは嫌なものです。
自分が詳細に分析して実践した取引が失敗であったということを認める行為だからです。
それでも一度や二度なら何とか自分に言い聞かせて出来ますが、それが何度も何度も継続すると嫌気が刺してくるのです。
これが多くの投資家たちが損切りすることを止めてしまう瞬間が訪れてしまう要因です。
損切りするたびに心が少しずつ疲弊していく投資家が多いのですね。
第五に値動きに翻弄されてしまう投資家が少なからずいるということです。
突然の窓を開けた逆行で損切りの決断が出来なくなってしまうことがあります。
突然の悪材料や決算発表後にはよくある話ですが、こういう状況で大きく逆行して始まってしまった、もしくはストップ安が続いてしまったといったことで損切りできなくなるのです。
逆指値など設定していても予期せぬ事態でそれを大きく越えて逆行してしまうことは誰にでもあり得る話なのですが、どうであれ予定通りの損切りでないと躊躇してしまうのです。
損切りがすべてである
最後までお読みいただきありがとうございました。
損切り出来ない要因を様々に挙げてみましたが、結局は総じて投資家の心の問題です。
損切りがすべてであるということを全取引においてあらゆる情報、この銘柄は有望だ、業績成長している、割安だ、この前は含み損に耐えていたら成功した、もうこれ以上損切りを続けていては駄目だといったことより上の最上位の大事なこととして思考形成出来ているかどうかということが今日もすべての投資家たちに問われ続けているのです。
損切りは大事である
そんなことは分かっていると言いながら含み損を容認している投資家の何と多いことでしょうか。
損切りは大事であるでは甘いのです。
損切りがすべてなのです。
他のどんな情報、どんな分析、どんな判断よりも何よりも損切りすることを第一の優先事項にしなければならないのです。
そのために私は今日も相変わらず飽きもせず、当たり前のことを何言ってるんだと嘲笑されても恥じることなく、損切りがすべてであると述べます。
私はもう何十万回も損切りしました。
これからもまだまだたくさんの損切りをすることになるでしょう。
そしてそれこそが生涯投資家として生き残り続けるための最低条件なのですね。